リスクとは?
ツイッターでフォローしている異色のインデックス投資家「のっち」さんに、とても気になるツイートがありました。
サイコロを1回降って
A)
- 1,2,3がでたら 資産が +30%,
- 4,5,6がでたら 資産が -20%
B)
- 1,2,3がでたら 資産が +40%
- 4,5,6がでたら 資産が -30%
という2つのゲームを考えてみましょう。どちらもリターンは5%で同じですが、リスクはBのほうが大きいです。
興味のある方はこのゲームA,Bをそれぞれ10000回くらい繰り返してみましょう。
リターンはそのままであえてリスクだけを増やすBを、私が「投機・ギャンブル」とどうして呼ぶのか理解できるでしょう。
結論だけ書いておくと、10000回くらい繰り返すと
- Aは資産がどんどん増えていきますが、
- Bは資産がほぼゼロになります(ゼロになることがほとんどです)
え、ほんま?
と思ったのでエクセルを組んでシミュレーションしてみました。
元値が1000だった場合の1000回サイコロを振った結果
1回目 A 667471962584 B0
2回目 A 36250402732 B0
3回目 A745565689 B0
4回目 A36250402732 B0
5回目 A22307940143 B0
と、1000回でほとんどBは0になるのに対してAはごらんのとおりわけのわからない大数になります
ちなみにこれ、Bを60%と-40%と期待値をAの倍にしてもリスクを-40%にするとほとんどの場合でBは0になります。
1000回の間にどんなことが起こっているのか観察するとなかなか趣ぶかいものがあります。
Bを+60%、-40%にした場合、BがAを圧倒する期間が出てくるときもあります。
しかしそうであっても、どこかのタイミングで必ずBが壊滅的に負ける瞬間があり、最終的にはオケラになってしまうのです。
一方のAも、負けが込んで1000を大きく割り込む期間もあります。
しかしそうであっても、こちらはどこかのタイミングで必ず大勝ちして最終的にはものすごい大数になります。
おもしろかったのでプラスとマイナスをいろんな数字を入れて何回かやってみました
たとえばこれをA +0.03 , -0.02 B +0.06 , -0.04 と1/10にした場合は逆にBが圧倒的に勝ちます。
期待値をAB同じ0.005にすべくBを+0.05 , -0.04にすると1000回付近では、Bは3割ぐらい勝っていますが、5000回ではBがほとんど負けます。
ちなみに、0.01と-0.01にすると5000回時点で元値を越えている勝率は5割ぐらいありますが、0.1と-0.1では500回ぐらいでほとんど0になります
これが0.02、-0.02だと5000回時点の勝率は1割ぐらいになります
考察
勝率が5割を超える勝負は、勝つ可能性が高い勝負と言えます。
とは言っても勝つ可能性が高い勝負にも負ける可能性はあります。
期待値が同じであれば、勝ちの合計と負けの合計の和が等しくなるはずですから、勝つ可能性が低くても何回も勝負を繰り返しているうちにどこかで大勝して追いつくはずです。
逆に言うと、勝つ可能性が高い勝負でも無限に繰り返していると、どこかで大負けして勝ちがチャラになってしまいます。
(いや、マイナス側は0が下限なのに対してプラス側は青天井なので、チャラ以上か)
現実の世界では、勝負の回数は限られているので取り返す前にオケラになってしまう、のであくまで理論的には、ということですが。
もし仮に宝くじの開催者が損失持ち出しで一等賞金だけ5000億とかにして期待値がプラスになった場合、理論的には宝くじを買い占めたら儲かるはずですが、現実には買占めはできないし、買占めできないのならやっぱり期待値がプラスであってもほとんどの人は損します。
株式投資は期待値がプラスの勝負だとよく言われますが、期待値をあげるためにレバレッジをかけるとリスクも大きくなり、それが大きすぎると負ける可能性の方が大きくなります。
ただし適切なレバレッジであれば勝つ可能性が高くなります。
さっきやったように+0.03,-0.02よりも+0.06,-0.04の方が勝ちましたからね。
ただしのただしですが、同じレバレッジ2倍でも+0.3 -0.2に対して+0.6 ,-0.4ならまず勝てません
まとめ
このように期待値、リスク、それがもたらす結果、の間にはものすごく微妙な関係があり、期待値とリスクを自分で設定できるのであれば結果をコントロールできます。
だがしかーし、将来の期待値もリスクの大きさも誰にもわからない以上、すべては机上の空論です。
確かなことは、
期待値が大きいからといってリスクを大きくすると負ける可能性が高くなる
期待値が同じでもリスクが大きければ負ける可能性が高くなる
ということです
期待値が大きいことを、大きいリスクを取ることの言い訳にしてはいけません。
うまくいくことがあったとしても、何回も繰り返すと必ずオケラになります。